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当記事は、毎週火曜早朝に渋谷にて開催している起業家向けプログラムSTARTUP SCHOOLの講義全文書き起こししたコンテンツです。クラウドワークス、マネーフォワード、Vasily、Miewなど成長スタートアップによる支援により提供しています。

フリークアウト、イグニスの2社の創業から上場に関わった男
 佐藤と言います、よろしくお願いします。まず、主に関わっている会社の紹介を2社します、フリークアウトはDSP企業で、2010年の10月に会社を創ったので、もうすぐあとちょうどあと1カ月で丸4年です。そして、2014年6月24日に上場をしました。今は正社員120人ぐらいで、顧客となる法人アカウント数の数が今グローバルで5000アカウントというところで、東京、ニューヨーク、シンガポールにオフィスがあります。
 もう一社がイグニスという会社でして、スマートフォンのメディアコンテンツのデベロッパーです。イグニスはサンフランシスコと東京にオフィスがあって、今累計で約6,000万ダウンロードぐらいのアプリを持っている上場企業の中ではおそらく唯一スマートフォンアプリからの売り上げが100%シェアになっている会社です。従業員数もここから半年ぐらいでちょっと増えて、今85名ぐらいです。
 自分の役割としては、フリークアウトではビジネスオペレーション全般を見ましょうみたいな感じで子会社、関連会社での新規事業もあわせてみています。イグニスでは、創業時から 1年半ぐらいはわりと具体的なサービス企画なんかにも首を突っ込んでいましたが今は取締役会で戦略の大枠を決めたり大株主の創業者ふたりを少数株主保護の観点から監督していくというベーシックはことをしてます。
 元々は開発がバックグランドですが、エンジニアの方って今日どれくらいいらっしゃいますか。チラチラという感じですね。僕は元々Googleで広告製品を担当していたんですけど、最近はコードを書くというのは趣味以外ではほぼありません。
 今日は、あんまり会社の中のことを説明しても仕方ないかなって思ってまして、この3,4年の間にやってきた失敗の数々みたいなものを皆さんに共有させていただこうかなと思います。事前に知らされてたからといって、失敗はするものですが、多少なりとも避けたり心の準備ができるかなということで、何となく失敗のパターンを認識いただきたいと思っています。そのあたり大きく5つご紹介していきたいなと思っています。

もっと早く成長出来たフリークアウト
 マジでフリークアウトについては、本当に後悔しまくっていて、創業1年半位、月次売上が 1.2 億、営利が単月で 4,000万とか出ていて強烈に伸びていたんですよね。ただ、そこから2年半位上場まであったんですけど、そのままの角度で成長しなかった。完全に経営者の問題。組織をスケールしていく中で大きく5つの話があったと思っています。それを今回お話出来ればと思っています。

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1.役員クソ分担問題
 まず、「役員クソ分担」問題っていうのがあるんですけど、すでに複数の取締役がいる会社どれぐらいいますかか?・・・まだ少ないですね。社長、代表取締役オンリーっていうのが多いということですね。ではちょっと、えっと、次なる取締役が入る、もしくは取締役が自分以外にいる人に関しては、今後の役割分担のところで考えて頂きたいんですけどフリークアウトの場合は代表の本田と僕でメチャクチャ役割がくっきり分かれていて、本田がプロダクトを見る、僕の方はそういうのを組織に反映するところというかプロダクト以外は全部を僕が見ましょうみたいな感じで、明確に役割分担したんです。
すごくいいパートナーだねとよく言われたんですけど、わりとそれがダメで、僕らの場合だとBtoBのプロダクトを作っている会社なので、BtoCの会社にどれぐらい当てはまるかわからないですが、すごく後悔しているのが、お互いそんなに口をそれぞれがやっていることに挟まないってことで。まぁ、お互い信用して自分がやるべきことをきちんとやろうみたいなことをずっとやってきたせいで、プロダクトと営業、成長の順序がごちゃごちゃになる。で、結局会社ってプロダクトなので、実際プロダクトが重要なんですけど、特に社長がプロダクトの責任を持つって、よくある分担なんですけど、そうなるとパートナーである僕は、プロダクト以外でどうやって成長出来るかっていうことをこっちは考えるんです。
 で、フリークアウトがそれで陥ったのが、まだ未完成状態のプロダクトを営業が気合で売るみたいなことをやるようになるんです。プロダクトをやり切れてないのに売るのが自分たちの役割だから超工夫して売ろうとするんですね。でも下手に売れるって、プロダクトの成長を止めるんです。で、特に本田以下数名のエンジニアとか、僕も関わってましたが、プロダクト開発をやっている中で、そこの失敗を否定しづらいっていうのが、すごい出ててきたワケです。社長の本田や僕自身も自分のプロダクトを否定するのはすごい難しいし、それがちゃんと出来てないとかっていうのを認めるのが困難なので、外圧も掛け辛いし、自分自身でも失敗を認めることが難しいっていう問題があって、そのせいでプロダクトが育つ前に、営業をとにかく頑張ってどうにか売り上げを作って来るという組織になっちゃってました。プロダクトは最初の参入ハードルが高かったので、そこの技術的な困難さを乗り越えた後は、当時ほとんど改善・成長を生み出せなかった。
 それでも、営業を頑張って売る、まぁBtoBの怖いとこなんですけど、そのせいでプロダクトが育たないていうのは大きな失敗の1つかなと。これは後から直すのはかなり辛い。セールスが強くなるともう、良いプロダクトは一生無理ですというところですね。なので今、うちでもグループ会社経営とかをやってますけど、グループ会社で意識しているのは、セルフサービスでも使われるぐらいにプロダクトが成長するまでは、そんなに営業気合入れて営業掛けても仕方ないです。それまで営業組織を拡張させない。プロダクトとして成長するというところを、目指してますね。
 フリークアウトの場合で言うと、明石という元 Yahoo! Japan のCTOが入って来てくれて、役員のバランスがよくなったかなと。本田が社長業に専念出来るように、ようやく1年ぐらいでなってきたかなというところですね。役員同士のすごい明確な役割分担っていうのは、それぞれがお互いに文句をガリガリに言い合えるようだったら全然OKなんですけど、まぁ、そうじゃなくなるケースがすごい多い。僕、別に本田と何でも言えるって思ってましたけど、とはいえ振りかえって見るとやっぱりプロダクトに対して、本田は多分、組織作りに対してすごい不満があったんだろうなと。それが信頼と何も言わないっていうのは多分違うので、コミュニケーションを役割り分担という名目の下に、えー、小さくするっていうのは、怠慢でしかなかったなという1つの反省です。
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2.クソブロガー問題
 続いて、クソブロガー問題は、文字通りなんですが、エンジニアを採用する時に、よく言うのがなんか、自分の技術的な発見とか話をブログに書く、みたいな。そういう人がいいぞみたいな、定説がある。それ基本的にウソなんで、特にエントリー数が多いエンジニアの仕事の出来なさ半端じゃないです。
 うちもオープンソースコミッターいますし、エンジニアのブロガーとして有名な社員もいるんですけど、そういったバックグラウンドだからと言って仕事できるのは稀有な例、運が良かったという感じで仕事の生産性が高いということはブログと相関はほぼないと思ったほうがいいです。よく言うのが、凡人100人で解決出来ない技術的な課題を1人の賢いエンジニアが解決するみたいなことってある。実際そういう場面も、会社を経営する中で存在するんですけど、マジ少ないって話です。凡人100人が解決できない問題を1人が解決する瞬間て、この4年間で僕ら必要とした回数10 回ぐらいしかなくて、せめて1,2人位いればいいみたいな話で、あとはとにかくちゃんと手を動かしてひたすら生産性だけを求めることと、コミットメントが重要。
 優秀な子と生産性が高いことはマジで違うんで、それは騙されやすい問題です。特にエンジニアじゃない人、エンジニアバックグランドがない経営者は、そう言うところに評価を置きがちです。まぁとはいえ、オープンソースコミッター・・・ただそれは、そういう人で仕事の出来る人も当然います。ただ、スタートアップの成長に貢献できるかというと相関はない。で、モノの本には、これと真逆のことが書いてある。あれは信じないほうがいいです。

3.クソジーコ問題
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 一番すごいのってオレって思っていないと、会社経営はやってられないと思うんですけど、あの、一番すごいのってオレじゃんって思っているとですね、自分でやりたくなる。
 自分で営業行ったほうが売れるし、自分でこの不具合を直すほうが早いみたいな。で、どうしても自分でやりたくなるのですが、ま、自分でフリーキック蹴るぜって思っているうちは、伝える努力を本気でしないんです。こう、フリーキックのパターン自分の頭に入ってるし、お前らそれに合わせてたらOKみたいに思っている間は、ちゃんと自分が描いているこの先のプランだったり、大事に思ってることをなかなか伝えようとしない。無意識のうちですよね。別にそれをサボろうと思うってことは多分ないと思うんですけど、例えば自分が蹴れるって思っている間は、まぁやっぱり最後は自分が出ていけばどうにかなるみたいな話です。こういうことをやってると、フリークアウトのケースでいうと、やっぱり次の事業を作っていくとか、基幹事業で成長して、それなりの成果が出て来た次の段階ですね。成長角度が緩やかになってきた時に、じゃあ次どうやって作って行くのかっていう時に、なんかもう1回自分でやらないといけない。それはすごい、僕らの場合で言うと、相当困りました自分でやるしかないっていうのをずっと続けていく。これでは困るわけで、とにかくもう自分がフリーキックを蹴らないとしたら何が出来るのかというところを、もっと早い段階から真剣に考えたほうがよかったなと思っています。
 大体自分がやりたくなる原因の大きな部分として『メンバーにからのリスペクトの集め方が、メチャクチャ働く』っていうところしか知らない、という未熟さや自信の無さです。イメージわかりますか?何かしらすごいとか尊敬されていたりしないと、組織を動かしていくのは難しいですけど、メンバーの皆が、尊敬を集めたり信頼を得ることのやり方っていうのは色んなオプションがあって、それらのコンビネーションだったり、ケースごとの使い分けを上手くやれたほうが全然いいんですけど、特に僕含む 20 代の若い経営者を見てみると、その、尊敬・信頼の集め方が、とにかく自分が一番、物理的に一番働いて一番成果を出すぐらいのオプションしかないっていうことが問題なんです。で、別に尊敬とか信頼を集めること自体は、自分がやらなくても出来ることだったりするんで、どうやって自分以外の周りを成功させてあげられるか、みたいなことにフォーカスするほうが、全然うまくいくなぁという風に最近は思ってます。
 なので、さっき言った子会社経営では、僕ほとんど、いわゆる実務みたいなところは、やってないですし、まぁそれでも成長が早い段階でつくっていうのは、周りの人が成功するとすれば自分がどういう風に貢献できるかっていうところだけをやるっていうみたいな話で、もしかすると子会社経営やっているところで採用してる人には、僕実務全然出来ないヤツだと思われてるかもしれないです。全然僕のこと尊敬していないかもしれないですけど、でもそれでも全然よくて、会社が成長すればそれでよいと。上は頼りないから自分で頑張ろうと思ってくれてるほうが、全然いいなっていうのが、この数年での学びの1つです。

参考:クソジーコ問題に関する記事
経営における「クソジーコ問題」とは / 佐藤 裕介 | STORYS.JP

http://storys.jp/story/8013

4.クソフェーズ問題
 次は「クソフェーズ認識」問題っていうヤツで、あの、事業フェーズの、認識とか切り分けっていうのを、皆さん自分自身で考えていらっしゃるプランの中で、どれくらい明確に持っていらっしゃるのかっていうのはちょっとわからないのですけど、事業フェーズの認識って、企業経営のあらゆるものに影響を与えるのですよね。
 特に資本政策と採用においては、事業フェーズの認識の違いとかタイミングのズレみたいのが、後々すごいボディブローのように効いてくるので、えっと、ちょっと事前に考えておいたほうがいいかな。
 実際のフェーズの切り替わりと、自分の中で変わったなっていう認識のタイミングがズレないように、意識をすることが出来ればなと思うんですけど、例えばうちのその事業フェーズの認識のところであったのが、元々考えてたのは市場成熟度に合わせた生産活動をきちんとやっていこうという部分で、僕らの場合は既存の市場から新しい市場に予算をリプレイスしていくみたいなことをやっていて、で、初期段階のフェーズでは、ある技術とか製品がパワーを持つ。そこでしか差が出ないので、こういうタイミングではとにかく、このプロダクトを世に出して紹介できる人と、プロダクトを良くしていく人がいれば、OKだと。このタイミングで、僕らが採用したのは、キャリアやバックグランドがピカピカした人たちというよりかは、とにかくもう、野武士みたいなこう生命力は高いけれども、何か社会的に良いとされるラベルを持ってるヤツじゃない。
 何も言わなくても生命力が高いんで、とりあえずなんとかして売って来るみたいなヤツを採用してたんですね。で、これはすごいワークしてたんです。それらのメンバーはほぼ全員残っていて、社内で割りと重要なポジションについています。
なんですけど、事業・市場フェーズってそこからどんどん切り替わって行くんで、僕らで言うと、2012年の真ん中辺りから、徐々に徐々に切り変わって行って、プロダクトそのものでは基幹技術のコモディティー化によって、基本的なプロダクトのスペックでは差別化できないようになってくる。そうなるとですね、段々こう、プロダクトにニッチな需要を満たす機能をどんどん追加していくっていうフェーズに移ります。
 で、多機能化していくって、技術分野においても避けられない競争のプロセスで、シンプルなまま走り続けるっていうような市場、シンプルなプロダクトが勝ち続ける市場っていうのは、実は存在しないと思っています。シンプルに、シンプルに、っていうんですけど、まぁ、競争原理上無理だと。差がつけられないから。で、シンプルにしていい時って、本当にあの、市場に立ちあがるタイミングとか、完全に独占市場だけ。それ以外は基本、多機能化の競争と多機能性をどうやってコントロールするんだっていう部分にフォーカスがある。徐々に人手にかかっていくようなタイミングで市場規模っていうのは追いついて大きくなっていくような感じなんで、そこの認識をですね、僕たちもそのあたりの切り替えがうまくいっていたら、成長をもうちょっと加速できたのかなと思っています。
なぜかというと、こういう多機能化で製品が高クオリティ化してくると、野武士だけだと対応できなくなるんですね。このプロダクトを使って、どうやってお客様の課題を解決していくか。多機能になっていけばなっていくほど、提供出来るバリューの選択肢が増えるので、お客さんの課題ごとに、その提供バリューを組み合わせて違う物をカスタマイズして提供していくっていうのが基本になります。IBMとかは、すごいわかりやすいのは、IBCSというコンサルティングサービスを子会社として持っていたんですね。で、それを中に吸収してるんですけど、例えばIBMの事業でいうと、そこが事業の本質になってから統合してるわけです。それは僕らの市場とかでも同じで、で、こういうフェーズに入って来ると、野武士だけじゃなくって、企業の意思決定プロセスを理解して、複雑な製品をパッケージではなく、カスタマイズした形で売ることができる。バックグラウンド的には例えばコンサルティングファームから来ている人たちがようやくこのフェーズで活躍し始めるっていう感じです。その人たちが入って来るタイミングでは、彼らを受け入れる組織体制が出来ているかは結構重要かもしれないですね。
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5.ゆるふわクソ野郎問題
 ラストです。最後「ゆるふわクソ野郎」と、なってますけど、これはもうすごいわかりやすいんですけど、なんかメッチャおっさんみたいなことを言うような感じですけど、オフィスが汚いとかなんか、オフィスの入り口でお客さんに挨拶しないとか、当たり前ですけど普通にダメで、スタートアップだからとかそういうのは関係ない。お客さん来た時に、挨拶してなかったらやっぱり、なんだろう、士気が下がってたり、なんか本当にピュアに強い目的意識のもとに意思決定とか出来てなかった頃だったなみたいなことをすごく思います。圧倒的にオフィスは綺麗にした方がいいし、来客には、自分は関係ないアポでも挨拶したほうがいいじゃないですか。でもそれをしない。そしてそれを指摘もしない。そういう組織は明らかに機能不全です。崩壊に向かっている。なので、そういうのは別に言わなくてもいいかと思ったんですけど、案外こういうことを小うるさく言うみたいなのは結構大事かなと。
 これってすごい改善に時間がかかるんです。1回なんかモラルが低下した組織を、戻すのはメチャクチャ労力がかかって、それに合わせてなんか雰囲気固くなった辞めるヤツとかも出て来て、なんか小うるさいぞと。今、電話何秒以内に出なかったらメッチャ怒られますから。フリークアウトってわりと不謹慎なイメージあるかもしれないですけど、マジギレされます。「目の前で電話鳴ってるのになんで出ねーんだよ!」みたいな。で、スタートアップの時に、こういうのをクセづけておくと、すごいいいなと思います。これは最初から、多分経営陣が意識していれば、絶対大丈夫だと思います。僕らはあとから軌道修正大変だった。
 これで僕の大失敗の5つのクソ問題を終わりたいと思います。何が一番大事かなあ。一応なんかこう、普通いいと言われていて、本当はでもダメかなと思うのを出来るだけ上の方にしたんですけど。「クソブロガー」問題が2位っていうのも・・・ただこれ本当に定説と真逆なんで、とても大事だと思いました。ありがとうございました。

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※フリークアウト佐藤さんによる追記

次回以降のSTARTUP SCHOOLのエントリーは下記より。
STARTUP SCHOOL エントリー

http://blog.skyland.vc/about/

※当記事は、毎週火曜早朝に渋谷にて開催している起業家向けプログラムSTARTUP SCHOOLの講義全文書き起こししたコンテンツです。クラウドワークス、マネーフォワード、Vasily、Miewなど成長スタートアップによる支援により提供しています。



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