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当記事は、毎週火曜早朝に渋谷にて開催している起業家向けプログラムSTARTUP SCHOOLの講義全文書き起こししたコンテンツです。クラウドワークス、マネーフォワード、Vasily、Miewなど成長スタートアップによる支援により提供しています。

ベンチャーキャピタリスト4人が集まった、インキュベイトファンド
 インキュベイトファンドの本間と申します。インキュベイトファンドは、赤浦、本間、村田、和田の4人がパートナーであるベンチャーキャピタルファンドです。ところで、この中で、ベンチャーキャピタルの方とコミュニケーションをとったことがある人はどれくらいいますか?結構いらっしゃいますね。
 「インキュベイトファンドはどのような投資家なのか」ということは、きちんと、聞かれることが意外と少ないのですが、投資家側にも聞いた方がいいと思いますし、僕らも僕らで、このようにお話をしながら、伝えていきたいと思います。今日は、僕らが、「どのような考えで、何をやっているのか」ということを知って頂きたいと思います。

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 僕らインキュベイトファンドは、この4人でやっていますが、もともと全員がベンチャーキャピタル出身のバックグラウンドです。事業家からスタートしたわけでもなく、「みんながこの仕事しかやったことがない」という非常に不器用な集団で、この仕事しか知りません。僕も今39歳ですけれども、「まさか、このような仕事で、この歳まで食べていける」とは全く思ってもいなかったので、世の中わからないものだなと思います。
 赤浦と私(本間氏)がジャフコ出身、和田がサイバーエージェントベンチャーズの出身、村田が大和証券グループのベンチャーキャピタルの出身という形です。その他には、「インキュベイト」と名前が付いているように、僕らは、皆さんのようなこれから会社を作る人たちと仕事をしていて、逆にそれ以外の投資はやっていないです。

 具体的には、僕らは、会社を創る3人くらいチームで、
・これからプロダクトを作るのにお金が必要
・プロダクト改善するために、資金が必要
といったような人たちと一緒に、「こういう風にやったらいいのではないか」というようなことを考えています。僕らは、投資をして、事業化を成功してもらうということが1番にやっていきたいと思っています。

インキュベイトキャンプとインキュベイトファンドフェロープログラムとは
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 シードアクセラレータープログラム「インキュベイトキャンプ」や、フェロープログラムと言って今、起業をしたい人たちだけはなくて、例えば、「ヘルスケア分野でこういうアイデアをやりたい」など大きなテーマを投資家側が比較的にいくつかもちながら、勉強会を行い、その中で事業を作り出していくようなプログラムもしています。
 さらに、私がシンガポールに在住していることもあり、シンガポールで、アジアや日本を含めた経営者や投資家を集めて、コミュニティを作るための大きなカンファレンスもしています。

参考:Asia Leaders Summit 2014: スタートアップにとって、グローバリゼーションとは何か?

http://thebridge.jp/2014/02/asia-leaders-summit-2014-global-company

 このように投資だけではなく、まさにSTARTUP SCHOOLもそうだとは思いますが、「起業のエコシステム創り」もしていきたいと思っています。

VOYAGE、みんなのウェディング、gumiなどの成長スタートアップの創業支援
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 僕らは、年間約10〜15社に対して、創業時に投資をしています。時間軸で見ていただくと、様々な投資をしています。例えば、過去の投資先に先日上場しましたVOYAGE GROUPがあります。VOYAGE GROUPは、今でこそだいぶ長い歴史の会社ですが、メンバーの赤浦が投資をした時は2000年くらいで、まさに宇佐美さんが会社を作られるときに投資をしました。
 最近では、今年上場をしたみんなのウェディングがあります。みんなのウェディングは、もともとDeNAの中にあった事業部だったのですが、それを切り出して会社にするというときに、僕らインキュベイトファンドがグロービス・キャピタル・パートナーズと一緒に支援しました。その他に、皆さんがよく知るところでは、ゲーム会社のgumiがあります。gumiは今でこそ有名ですが、投資した当時は3人で『モバイルのTwitter』を作ろうということで開発していました。
先ほどのフリークアウト佐藤氏さんの話にもありましたが、「本当に創業当初はチームなどはあってないようなもの」で、皆さんもそういう意味でいうと、「スタートしていい人がすぐに集まらなくても焦る必要はなく、後からなんとかなる」ということがあるように思います。
例えば、「初めにいいメンバーがいない」ということもあると思いますが、プロダクトや事業が伸びてくると、採用力は一気に上がってきます。1番初めは、「俺がやるから来てくれ」というような状態だと思います。そこから、徐々に、プロダクトや事業で語れるようになると、採用力が上がってくるかなと思います。
 我々は、事業テーマを持って投資活動をしていますが、やはり起業家の皆さんも、「こういうのがやりたい」というものがありますね。お互いの思惑が時代とマッチしてくるところもあり、2007年〜2009年あたりは、ゲーム会社へ多く投資をしていました。これは、単純に、事業機会がそこにあり、そして、これをすることで儲かってきたり、うまくいったりする会社がたくさんあったので、みんなが参入したということです。
 今、僕らが、起業家さんの皆さんとも「どのような投資テーマがありますか」とよく話していく中では、「どのように、既存産業をDisrupt(破壊・変革)するか」というテーマや、まだ少ないですが、「Internet of Things(IoT)やウェアラブルがあります。
 もちろん、時代で事業テーマを選ぶ必要はありませんが、「今までみんながやってきていなくて、今参入すればこれから勝てる」といったジャンルは、そのような分野に移りつつあるのかなという気がします。

コアメンバーを採用するつもりで初期の投資家を選べ
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 投資家の選定に関して、「どのように、投資家を選定すればよいですか」とよく聞かれるのですが、僕も投資側にしかいない人間なので、なんとも判断しにくいところがありますが、端的に言うと、「初期においては役員やコアメンバーを採用する時と同じような感覚で投資家を選んだ方がよいように思います。投資家については、相性があまり合わない方と毎回顔を合わせることはお互いにとってよくないと思いますし、替えが効きにくい存在だと思いますので、非常に慎重に議論をした方がいいのではないかと思います。
 例えば、採用では、スペックだけではなく、性格、気質、カルチャーフィットが自分に合うかなどを気にしていますが、投資家の選択になると、急に投資家がつけるバリエーションだけで投資家を評価するなど非常にワンサイドな見方が多いと思います。もちろん、最もいい条件で投資をしてくれるのが1番いいに決まっていますが、それは採用においてもすごくスペックがいい奴を採った方がいいに決まっているということとあまり変わりません。
 しかし、実際、役員を入れるときは、「あいつだと一緒にやっておもしろい・いい感じになれる」など相性を考慮に入れているので、投資家においてもそれをきっちりと考えに入れるくらいのマインドセットで臨んだ方がいいのではないでしょうか。採用は自分で「この人ならいい」と思って決められるのに、投資家は決められないというのは、またこれもおかしな話で、結局のところ、「同じ感覚できちんと人を見て決める」ということが、1番間違いがないのではないかなという気がしています。
 また、単純に調べたり聞いたりすればわかる話ではありますが、その投資ファンドや投資家が、どのような投資をやっていくのか、どのような方がどういった考え方をもっているか、ということも知った方がいいように思います。

インキュベイトキャンプから学ぶ起業家と投資家の考え方の違い
 今までのお話したように、僕らは「起業のインフラ」のような役割を目指しています。僕らは、多岐に渡って投資をしていますが、いずれにしても変わらないものは、「創業時に投資をする」ということです。僕らのシードアクセラレータープログラム「インキュベイトキャンプ」は、もともと2010年くらいに立ち上げたシードのアクセラレーションプログラムです。当時、アメリカで「Yコンビネーター」というのがありました。当時の日本には、似たようなものがなく、同じようなものを日本でもやってくれと誰かに頼まれたことからはじまりましたが、今年で7回目のイベントになります。業界を代表する投資家やメンターの方を呼び、1泊2日で起業家と新規事業創造合宿をしています。
 僕らがこのキャンプをやっている理由は、
・「投資家と起業家のコミュニケーションがブラックボックスすぎてよくわからない」
・「密室で決まっているのではないか」
・「勝手に株価が決まっているだけでよくわからない」
と感じられる方がたくさんいらっしゃったからです。「それをオープンにしてみよう」ということがきっかではじまった試みです。
 「経営の意思決定は結局自分で決めるしかない」というところではありますが、特定の投資家やメンターとばかり話をしていると、息詰まったカップルみたいになってしまって、毎回同じデートしちゃうような形で、打開策がないわけです。しかし、様々なメンターの方たちに、一同にお会いし、その方々から好き勝手にたくさんの意見を頂戴できます。その中から「自分が1番感動した」、「自分の考えに近い」、あるいは「自分も正しい」と思うことをやっていけばいいと思うのです。「アドバイスを比較的多く聞いて、ブラッシュアップしきっていく」というひとつの場として作っています。興味があればぜひ来てみてください。
 僕がこのキャンプでおもしろいなと思うことは、人によって言っていることが本当にバラバラなところです。人のアドバイスなんてそんなものです。その他、経営者とVCのメンタリングの違いとして、VCは全体感として、「この環境の中でこういうことをやった方がいい」というようなプロダクトサイドの話はできますが、経営者のメンターに比べて、組織の話はあまりできないことに差異があるかなと思います。

今後の投資環境と投資家毎の考え方との違い
 日本だけではなく、アメリカで大型資金調達をして、大きく育てていくという傾向が非常に顕著にあります。やはり桁違いに大きく、ひとつの勝ち馬にドンと投資をする傾向にあります。これは日本も明らかで、僕らVC業界も影響を受けていると思います。
 少し前まではシードのアクセラレーションが非常に流行っていて、比較的門戸が広くありました。今でもそういう門戸が広いところは日本のいいところだと思いますが、だんだんと投資家側も非常に選択的で、「この人には大きく張るけどあなたには張らない」といった取捨選択するフェーズに来つつあるとは思います。
 そういう意味で、「何の事業をやるのか」、あるいは「どういうチームでやるか」ということは、皆さんもある程度大きく成長するような志向をしておかないと、次のフェーズにはなかなかいけなくなってくると思います。もちろん、次のフェーズにはなかなかいけないといっても、夜逃げするようなことにはならないと思いますが、大きく成長できるベンチャーへ事業を移行できないと、次の調達がなかなかできなくなってくると思っています。

スマホの登場によって、車にコンピュータがおける時代になりUberが産まれた
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 ここからは僕らが投資したいという話です。やはり投資側が今すごく興味が出てきているのが、「こういうバーチャルだけで興じるゲームやアプリという世界だけではなく、いわゆるリアルの銀行や工場や病院や、スマートフォンと何かリアルのポイントを繋げ、おもしろいことができる」ということに非常に興味があります。
 そういう意味でいうと月並みになってしまいますがAirbnbやUberのようなものは、ひとつ具現化したケースだと思います。投資家同士の議論としては、あのようなケースを他業界や市場にどうもっていけるかなということをよく考えたりすることが多いですね。起業家の方とも同じのような話をしています。
 また、「デバイスがすごく増えてくる」ということは、「リアル環境にあるデバイスが増えてくるので、今までコンピューターに繋がっていないようなリアルなところに置けるようになった」ということが大きく変化すると思います。例えば、Uberも何がおもしろいと考えると、「車にコンピューターが置けなかったのが簡単に置けるようになった」という非常にシンプルな事実で、そこにフォーカスすれば、やはり新しい状態が生まれているということだと思います。このように考えると、店舗もそうかもしれないですし、考えようは色々、切り口はあるのかなと思っています。
 その他には、結局僕らもネットネットの業界で生きてきて、すごく変わってきたことがあります。
 もともと僕らの投資ファンドというベンチャーファンドに投資してくれる人が、イコールどういう人がベンチャー業界に興味があるかは、けっこう試金石っぽくなっているのですが、昔は我々のファンドにはネット系の企業の方が多く投資をしてくれていました。最近は、ゲームなどが我々インターネットの領域の人たちがやるビジネスだととらえられてきて、そうすると我々のファンドはゲーム会社やテレビ局の方が出資してくれるようになったのですね。これはすごく大きな変化です。
 インターネットの産業はすごく進化します。今GoogleやAmazonやFacebookの、今度はハードウェアやデバイス自体のほうもやってみようではないかというふうに取り組んできているので、もしかしたら、僕らも、もともとネットの関係の人が投資していたファンドから、段々ゲームの人やメディアの人が投資するようになって、今は更に「こういうハードウェアの領域もインターネットのビジネスですよね」と語るようになってきていることは、大きく変化しているところだと思います。
 僕らのファンドが、ハードウェアの領域に近いところの人たちと、「どのようにインターネットでビジネスできるか」とか、インターネットの人たちが、「どのようにホームエレクトロニクスとかスマートTVの領域に入るか」というところもすごく大きいテーマなので、そこは僕らもだいぶ考え始めています。
 ただこの分野に関して、投資家の立場から話をしておくと、「やはり単におもしろいガジェットを作りました」ということだけでは、なかなか投資は得られないだろうなとは思っています。「やはりインターネットのメディアをガジェットをベースにきちんと作れるか」、「こういうデバイスとメディアを一緒に作れるか」など、そういうものとセットで考えられるような構想だとか、チームでないとなかなかに投資を集めていくというのは難しいのかなとは思います。僕も半年ほど前まではあまり海の向こうの話のような感じでしたが、今は新しく今度作るファンドで具体的にこういう案件を投資の検討とかリサーチを始めていますので、今年の後半から来年くらいまでは日本でも出てき始めるのではないかなと思っています。
 さらに、僕は、シンガポールにおります。「今まで英語圏や中国語圏等、海外市場向けのインターネットビジネスはすごく難しかった」のですが、今ではスマートフォンによって、「環境が整っているので、だいぶおもしろい時代だな」と思っています。
 インターネットメディアはすごくドメスティックなビジネスでしたが、もう少し広い目でスマートフォンのアプリケーションなどを捉えると、「非常におもしろく大きいビジネスが作れるのではないかな」などそのような可能性を感じて、そういうところに興味があるかなという感じですね。「グローバルスケールで勝負できる、あるいはしたい」などの起業家の方々がいれば、僕らは非常にサポーティブです。

ケーススタディから学ぶ資本政策の考え方
 特に資本政策上というところですが、まず、皆さんは、シード投資家あるいはエンジェルの投資家から受けるということが多いと思います。皆さんが、シード・エンジェル投資を受けた後「次にどういう投資家を呼んで大きくしていくのか」、「いくら調達できていくのか」という最終的な流れはなかなか見えにくいとは思っていて、「将来の姿をきちんと初期の頃から議論できる投資家なのかどうか」というのは確認してもいいのではないかなと思っています。
 また、資金調達後、組織を作るときも比較的に僕はなるべく組織図などをイメージしておいてほしいので、絵に描いてもらったりしています。例えば、「どういう人を採用したいのか」ということも、採用で会ってしまうと、「あいつ良さそうだし給与条件も合うからいいや」などといって、入れてしまうようなケースもあると思うのですが、そうはいっても初めにどういう人間がどういうふうに欲しかったのかということを、きちんとディスクリプション(説明文)で記述して、それをもって面接に向かうのか向かわないのかで、けっこう組織設計に差が出るのではと思っています。
 いずれにしても変な自己啓発ではないですけれども、組織の理想形や採用に関しては、「起業家自身が自分で望まなければ叶わない的な話」であり、「自分できちんと伸びたいと具体的な青写真を描かなければ誰も作ってくれない」ので、そういうことは結構大事です。

プロダクトをシンプルにして、ユーザーに刺さるところを作れ
 あと最後に、スタートアップの事業の立ち上げの話をしたいと思っています。簡単に言えば、「とにかくプロダクトをシンプルにして、ユーザーに刺さるところを作って他のことはやらない」。そこだけで数字を積み上げれば、VCも理解すると思います。
 メルカリやGunosyも非常にわかりやすい例ですが、「シングルプロダクトで、やっていることを極限まで絞り込んで他のプロダクトのことをやらない」、そういうことをして、数字が出ると、やはり評価が上がると思いますし、その後徐々にプロダクトラインを増やしていくといった、「一つの指標で一回数字をきちんと立ち上げてから大きくファイナンスをして、その後サービスをTの字に増やしていく」というのが比較的セオリーだと思います。
 皆さんの頭の中を一回整理して、「どっちにどのように進めていくのか」というところを整理すべきかなと思います。みなさん、やりたいことは山ほどありますよね。それを全部平面で描くと、「これやって。これやって、これやってというように、全部描ける」のですが、順番があるので「どの順番からやっていくのか」という整理は、すごく大事だと思います。これにより、投資家からの評価もすごく変わります。
 そういう意味でいうと、「どういうふうに立ち上げていきますか」というところで、「プロダクトを切り出す」、といった「フェーズ分け」のような議論が、僕個人はおそらく1番投資の中で力を入れていると思います。何かサポートをするという観点からすると、「いかに一度に全部やらないようにするか」ということだけを議論しているような気がします。ご清聴ありがとうございました。

次回以降のSTARTUP SCHOOLのエントリーは下記より。
STARTUP SCHOOL エントリー

http://blog.skyland.vc/about/

※当記事は、毎週火曜早朝に渋谷にて開催している起業家向けプログラムSTARTUP SCHOOLの講義全文書き起こししたコンテンツです。クラウドワークス、マネーフォワード、Vasily、Miewなど成長スタートアップによる支援により提供しています。



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